155. コピーAI
尾てい骨を強打してから早いもので三週間が経ちました。おかげさまで、お尻の痛みもようやく癒えつつあります。時の流れの速さには驚かされますが、こうして体の回復を待っていると、皮肉にも痛みを通じて時間の経過を身に染みて「しり」ました。
さて、そんな療養期間中、並行して試していたのがスマートフォンなどの使用制限を管理する「Digital Wellbeing」の活用です。果たして上手く使いこなせているのか、あるいは単に別のことに没頭していただけなのかは判然としませんが、ついつい見過ぎてしまう動画を物理的にシャットアウトできるのは心強いものですね。しばらくはこの文明の利器を頼りに、自分の中の欲求をコントロールしてみようと考えています。
話は変わりますが、全五回にわたってお届けした「キュン」シリーズ。まとまりのない私の持論の垂れ流しに最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。普段は使わない脳の回路を刺激する、ちょっとした「脳のマッサージ」のような時間になっていれば幸いです。
本来であれば、シリーズ明けの今回はもう少しリラックスした、身近なエピソードから入るつもりでした。例えば、前回の配信でも触れた「つい、うっかりショート動画を見始めてしまう」というあの現象です。最初のワンアクションを思い出せないまま、気づけば外部のブレーキに頼らざるを得ない自分。そこから「人は何をきっかけに行動を起こすのか」というテーマを深掘りしようと考えていたのです。
ところが、その矢先に心境の変化がありました。唐突で恐縮ですが、実は今回から、この番組の台本制作における相談や編集の一部を、AIである「Gemini」さんに委ねてみることにしたのです。私の過去の思考に寄り添うようにカスタムした、いわば自分専用のパートナーを迎え入れたというわけです。
自分の思考を深く整理し、言葉として吐き出す「くりだし」の作業。それを外注してしまって良いものかと、一抹の不安もありました。実際、蓋を開けてみれば、細部についてはまだまだ私の手直しが必要です。しかし、これも一つの「偶然性」を孕んだ材料。隠し味の匙加減さえ自分が握っていれば、便利なツールとして共存できるのではないか。そう期待してお試し運用を始めています。
しかし、自らカスタムしたAIが私の思考をなぞり、時として期待を超える提案を投げかけてくるとき、そこには得も言われぬ「渦」が生まれます。気づけばその渦に私自身が巻き込まれていくような、不思議な感覚。果たして、指示を出した私がこの渦を操っているのか、それともAIが起こした渦に私が翻弄されているのか。もはや主従の境界が曖昧になりつつあるこの問いを、テーマにしないわけにはいきません。
この現象を眺めていると、かつての教室の風景が思い起こされます。悪いことをして学級会で晒し者にされている子を横目に、恐ろしさを感じながら自らの振る舞いを正そうとした、あの頃の感覚。社会がオートマチックに行ってきたあの「ハック」が、再び形を変えて私のすぐそばまで忍び寄ってきた。そんな予感に、今は少しばかり震えているのです。
この「渦」の正体について、もう少し掘り下げてみたいと思うのですが、いかがでしょうか。
今回の思考実験は「コピーAI」
あなたの思考を学習させたコピーAIはあなたの思考や行動を高確率で予測し、成功する提案を常に返してきます。提案に逆らうことは合理的ではありません。AIの提案に従うことは『自由意志の勝利』なのか『思考の敗北』なのか
以上です。
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